No.65 2015年6月26日放送(香川) 欄間彫刻師 朝倉 準一さん
FM香川からのゲストは 彫刻師の朝倉準一さんです。白いワイシャツに木製のネクタイ(しかも屋久杉!)をしめています。手には木の指輪まで!!これらは全て朝倉さんの作品なのです。
彫刻業を営む朝倉家の六代目となる準一さん。もともとは宮大工で、準一さんの祖父にあたる四代目から欄間の彫刻へと転向したそうです。しかし、住宅事情が変化し、欄間の需要も減って行く危機感の中、将来性を考えて準一さんが思いついたのはお箸作りでした。写真は、本来の朝倉さんのお仕事「欄間」を置物にしたもの。
スタジオに持参した杉の木箱には、ズラリとお箸のサンプルが並んでいます。一人一人それぞれの手に合った物を調べるためのオーダーメイド用に、長さを5ミリ単位で揃えているのです。三角形から十角形まで、自分の手になじむものを触れて確かめることができるようにと、形にもこだわりました。木ごとに手がけたお箸はなんと183種類に及びます。
資料から得た知識だけではなく、木材を取り寄せ、木と向き合いながら、それぞれの特徴(色、固さ、重さ、匂い、味など)を生かしつつ、準一さんが一本一本作り上げたものです。材料によっては部分的にしか利用できないものもあるため、それ以外の部材で、ボールペンや爪楊枝入れなど新たな小物も生まれました。美しい木材をより美しく生かしてあげたい、それが私達の使命だと語る準一さん。
今週のキーワードは・・・ 「はし(箸=橋)」
「箸」は、食べ物と自分をつないでいるものであり、大切な方に送る際には気持ちと気持ちをつなぐ橋渡しができるもの。職人が昔ながらに作ってきた木の橋や、四国と本州を結ぶ瀬戸大橋など、先祖から技術を繋いできた「橋」「つなぐ」意味を持つ二つの「はし」を、活動を通してのキーワードに選びました。
これからも何でも作って行きたい、と意欲的に語ってくれた準一さんからメッセージとして「木も動物と同じで、絶滅に瀕する品種が多く有ります。私たちの彫刻師という仕事も絶滅危惧種ですが、後世に素敵な木を残すためにも、ほんの少しでも自然に目を向けてほしい」とのことでした。木への尊敬と愛情がひしひしと伝わってきます。
大切に使えば10年でも持つと言うオーダーメイドお箸のお手入れ方法なども相談にのってくれます。木が大好きな準一さんと話していると、あらためて木とともに生きていることへの感謝の気持ちがこみあげてきました。
- 2015.06.26 Friday
- FM香川
- 13:40
- by brillante-fm